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アニメ映画急増の理由と製作委員会方式のアニメにとって映画が現時点では最善の媒体である理由

ここ5年くらいでアニメ映画が急増しました。

特に、深夜アニメのように製作委員会方式のアニメが映画になることが増えました。

ここ数年のアニメ映画を挙げだしたらきりがないというくらいです。

 

まず、アニメ映画が急に増えた理由を説明します。

 

テレビ放送のHD化とそれに伴うTVアニメの品質上昇

地デジ放送に完全移行する少し前から、TVアニメはSD画質からHD画質に解像度を上げました。

1080pのような高解像度では、それ以前のアニメの画質では粗が目立ってしまったり、どこか画面の中を使い切れていないような印象を受けてしまいます。

そこでアニメ制作もHD品質に対応したわけですが、当然ながら作画で描き込む量も増え、背景も粗が目立たないように品質を上げるなど作業量とコストは増えました。

 

そして深夜アニメ全体が、映画館のスクリーンでも耐えられるような非常に高い品質になったわけです。進撃の巨人とかFateとか、ああいった作品のクオリティはTVアニメのそれを遥かに超えていると思います。

 

10年20年前はTVシリーズの数倍の予算が必要だったアニメ映画ですが、近年のHD化によってTV+α程度の制作費でも作れるようになったわけです。

もちろん多額の制作費をつぎ込んだ"大作"も存在しますが、昔よりはずっと敷居が下がったわけです。

これが理由の一つです。

 

ネット配信による深夜アニメ認知度の上昇・TOKYO MX&BS11

2000年代中盤~後半あたりから動画サイトが一般にも普及し、アニメもこういったサイトで配信されるようになりました。

それまでは地方ではスカパー等に加入していないと視聴できなかったアニメも見られるようになりました。

 

加えて、アニメを多数放送するTOKYO MXやBS11のようなチャンネルが登場し、深夜アニメを視聴する手段が2000年代後半には劇的に増加しました。

これにより、深夜アニメの認知度が急激に上昇し、アニメファン全体の数も増えました。

 

ネット配信の弊害

動画サイトでの配信は良いことだけではありません。

初期の頃のニコニコ動画がそうだったように、アニメ本編映像が違法アップロードされてしまい、潜在的に損害を生むことになってしまいました。

そして、これらの違法動画を特に罪の意識なく視聴する人が増え、全体のアニメファンが増えているのにアニメを有料で配信するサービスや、アニメのパッケージ(BD/DVD)、レンタルなどの販売数はさほど変化がないという苦い状況となりました。

「無料が当たり前」

そんな時代では、少ないパッケージ購入者だけで支える製作委員会方式のアニメはあまりにもリスクが高いと言えます。

 

パッケージ販売の限界とライトユーザー

深夜アニメのほとんどは、自分たちで出資してビデオパッケージの販売で回収する製作委員会方式を採用しています。

ワンピースや名探偵コナン、プリキュアのように、TV局が代理店を通じてスポンサーを募り、それを制作費に当てるという昔のやり方をしている深夜アニメはほとんどありません。

 

製作委員会方式では、その作品に出資しているそれぞれの企業ごとに成功や失敗がわかれてくることがあります。

原作本は売れたけどCD/BD/DVDは売れなかっただと、原作の出版社は喜べるけど、レコード会社やパッケージの販売会社は嬉しくありません。

その作品という単位で見ると、深夜アニメはやはりビデオパッケージの販売に頼らざるをえないわけです。

 

そしてその高いパッケージを買ってくれる人の数には限りがあると言われています。30万人とも。もちろんその中でほんの一握りの人が実際に購入してくれます。

 

放送枠が増えたことでアニメの作品数も増えましたが、パッケージを買ってくれる可能性がある人の総数はそこまで増えていない。さらにネット配信がある。

この方式には限界がでてきました。

 

アニメは見るけどそこまでグッズ買ったりはしないというようなカジュアル層の視聴者や中高生くらいの視聴者は急増したわけですが、せっかくTVアニメを放送して作品の知名度が増えてもカジュアルな視聴者達がお金を使うに至りにくいということです。中高生にはビデオパッケージは高すぎます。

 

しかしこのカジュアル層の視聴者達は、千円ちょっとなら払ってくれる人が多いわけで、ここで最も効率が良いのが映画という媒体になります。

 

配給会社の認識の変化

2000年代後半から2010年代前半にかけて、いくつかの深夜アニメが映画化されていく中で、小規模公開でもかなりの興行収入をあげられることがわかり、配給会社もアニメ映画に積極的になりました。

映画は通常、地上波のテレビなどで大々的に広告を打って宣伝するわけですが、それがなくともTVアニメ版で作品を知った人達が見に来てくれるということで、宣伝の部分も比較的安上がりだったりします。

 

2期のインパクト不足

2期、3期とシーズンを重ねるとビデオパッケージの販売本数が徐々に減っていくという作品は少なくありません。むしろ多い。

2期や3期というのはどうしても年月も経過し、1期ほどのインパクトは与えにくいというのがあります。

もちろん、原作を買うきっかけとしては1期が最大値になるはずなので、2期がきっかけで原作を買うようになったという人は少ないはずです。

 

しかし映画はTVシリーズとは違ったインパクトを与えることが可能です。スクリーンも音響設備も自宅とは大違いです。

 

作品にもよるが現状、映画が最善の媒体

と、ここまで読んでいただければ深夜アニメにとって現状では映画が最善の媒体かわかってもらえるかと思います。

実際に多くの作品が劇場版を制作しているのもそれが理由です。

 

映画であれば見てくれるだけで1人あたり1500円~1800円、さらにはパンフレット等の代金を必ず払ってくれます。また、放映後にビデオパッケージや有料配信によってさらに利益を生むことも可能です。

TVアニメのパッケージを買うことのないカジュアル層も、映画では1回見ればそれだけでお金を使うことになります。

もちろん、公開中は映画館でしか見られないわけですから、動画サイトに違法アップロードされることもありません。(サーバーがハッキングされたとかだと話が変わりますが)

 基本的にタダ見のテレビアニメと比較すれば、映画は格段に収益性に優れています。

 

もちろん多くの人が見に来てくれるためには作品や監督の知名度と人気が必要です。

また、日常系アニメやギャグアニメのように1話完結型だと映画にはあまり向いていません。

 

テレビアニメはSNSでのリアルタイムの盛り上がりとか、毎週楽しめるという良さもありますが、各話で構成していかなければならない難しさや、制作スケジュールの問題もあります。

制作スケジュールが間に合わない→総集編→放送枠がないから後日どこかで放送

こんなアニメが結構な数あります。

制作スケジュールが間に合わないというのは、制作費がかさむ大きな要因になります。

 

TVアニメを1クールとか2クール放送して、その後映画をやるという作品は非常に多いですし、これからもっと増えるんじゃないかと思います。

 

 

アニメスタイル011 (メディアパルムック)

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