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小説『二十世紀電氣目録』感想・ネタバレ有り

 結城弘さんの「二十世紀電氣目録」を読みました。

 

軽いネタバレ有りの感想です。

 

 

1907年の日本を舞台にした小説です。

電球等の電気を使った物がようやく日本に広まり始めた時代。

タイトルにある電氣目録は、主人公・喜八が幼い頃に兄・清六に言われて書いたもので、電気を使った未来の機械が想像で書かれています。

これ自体はただのラクガキだったのですが、勘違いからその電氣目録を巡る話が展開されます。

 

「二十世紀電氣目録」は恋愛小説です。

 

主人公・喜八は神や仏は信じないが電気はこれからの時代の希望で、「電気で極楽を作る」というのが夢。

一方ヒロインの稲子は神や仏を信じる、信心深い少女。

 

この2人の恋愛が描かれますが、どちらかというと群像劇っぽさが強い作品です。

喜八の兄・清六、稲子の姉・規子、そして規子の婚約者の健吾といった人物、さらには稲子が婚約させられそうなパイカル博士こと三添など、様々な人間模様が描かれます。

やはり親が色々ストーリーに絡んでくるのが明治時代を舞台にしている作品らしい感じです。

 

恋愛結婚自体がそんなに多くない時代ですから、やっぱり駆け落ちか・・・って感じですね。

この作品の根本にあるストーリーはわりと王道です。

ヒロインが嫌な結婚をさせられそうになり、それを主人公が助けるというもの。

 

 

ただの落書きだった電氣目録に酒の製法が書いてある、というパイカル博士の勘違いから、この電氣目録を探す事になり、その中で今まで主人公が知らなかった色々な人間関係が明らかになります。

 

あらすじに

「消えた『電氣目録』。そこに隠されていた秘密とは――。」

とありますが、何か凄いことが書かれているというわけでなく、落書きにすぎない電氣目録が様々な人間関係を明らかにしたという感じですね

 

 

物語に一貫性があって、台詞や登場人物の境遇・立場、時代背景など基盤がしっかり書かれている点が評価できます。

 

方言がとても良い。関西人の方々にとっては大したことないかもしれませんが、関西弁ならではの軽快さや味があるのが魅力です。

標準語だったら絶対にこの面白さはだせないですね。

 

また、主人公とヒロインが惹かれる過程の自然で無理がない感じが非常に良い。上手いです。2人ともそれぞれ魅力がある。

 

ちなみに稲子の髪が短いのは、ボヤ騒ぎを起こしてしまった時に髪に火が燃え移りかけていたため、父親が慌てて髪を切ってしまった事による。また、騒ぎを起こした事への仕置の意味も込められていた。

稲子の髪型を見た主人公の喜八いわく「二十世紀髪」

 

伏線とか言葉遊びとかも色々あって、最後まで丁寧に書かれている小説という印象を受けました。

 

 

悪い点としてはあまりにも偶然に頼りすぎているところがある事です。

こんな偶然ある?という事があって、予定調和を感じます。

 

 

この本には挿絵がありませんので、稲子以外がどんな風貌なのか気になりますね。

 

 

公式サイトでこの相関図が公開されていますが、この相関図を元にネタバレ有りの関係性をこの下に書いてみます。

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※重大なネタバレ有りの人物相関

坂本清六←恋ー百川規子

坂本清六ー親友ー陸健吾

咲ー兄妹ー三添洋輔

咲=本物のパイカル博士

百川甚右衛門ー実は中学の学費を払っていた→坂本喜八

甚右衛門ー百川家と関わらない事を条件に弟の学費を払う約束→清六

 

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