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小説「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(上巻/下巻)の感想【ネタバレあり】

暁佳奈氏の「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の小説を上下巻とも読みました。

感想を書きますが、ネタバレを含むので気をつけてください。

最後にQ&Aも。

 

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概要

中核となる物語を簡単に紹介。

※小説のネタバレ100%なので読みたくない人は飛ばしてください。

 

本作の小説は、短編と長編に分かれており、短編ではヴァイオレットの代筆屋として各地に派遣されて様々な人に出会う話が描かれています。

長編では彼女の過去を中心に、物語全体に関わるエピソードが描かれています。

 

小説の一番最初は短編で、まるでヴァイオレットがアンドロイドか何かのように読者に勘違いさせるようにミスリードっぽく書かれているのですが、実は義手をつけた人間だったというオチで始まります。

 

ヴァイオレットは元軍人という設定がありますが、自分から望んで軍に入っていたわけではありません。

彼女は幼少期にディートフリードという男に拾われるのですが、身寄りがない孤児であるだけでなく、大人の命令に忠実で、異常なほど戦闘に長けている特殊な人間でした。

軍は彼女の強さを活かし、戦争の道具として利用する事に決めます。

 

ディートフリードの弟のギルベルト少佐がヴァイオレットを引き取り、育て、自分の部隊で戦争に参加させます。

ヴァイオレットはその強さを遺憾なく発揮し、名を馳せていきます。

 

しかし、戦争も終わりに差し掛かった頃、とある作戦でギルベルトもヴァイオレットも瀕死の重傷を負ってしまいます。

ギルベルトは戦争の終結とともにヴァイオレットを軍から解放します。

 

ギルベルトは自分の存在がヴァイオレットを不幸にすると思い、自分が戦死したという嘘の情報を流してヴァイオレットから身を引きます。

 

作戦で腕を失っただけでなくギルベルトも死んだと聞かされ途方に暮れたヴァイオレットでしたが、ホッジンズの説得もあり貴族のエヴァーガーデン家に養女として迎えられます。

ヴァイオレットはギルベルトの友人であるホッジンズが設立したC・H郵便社に招かれ、そこで代筆屋として働くことになります。

 

代筆屋の仕事で各地に派遣され、様々な人と出会い、彼らの想いに触れ、ヴァイオレットは成長し、より人間らしい感情を手にしていきます。

複数の短編は本作全体の半分程度を占めています。

 

仕事で派遣された先での出会いや、同僚との関わり合いの中で人間として成長をしていきましたが、ヴァイオレットはギルベルトが生きているのではないかとずっと考えていました。

ヴァイオレットはディートフリードに久々に再会します。ディートフリードは直接答えませんでしたが、ヴァイオレットは彼の言動からギルベルトが生きている事を確信します。

 

そしてある日、ヴァイオレットが旅先で乗っていた列車が武装集団に襲撃され乗客が人質に取られます。テロリストとは名ばかりで、収監されている政治犯の引き渡しが目的。

戦争の火種になると察したギルベルト達軍部は乗っ取られた列車の奪還を図り・・・

そこでヴァイオレットとギルベルトは再会を果たします。

 

 

感想

全体的には重厚感のあるストーリーですが、ヴァイオレットと同僚達の会話や派遣先でのエピソードの中には和やかなものもあったりします。

私個人としては100点満点中60点といったところです。

台詞回しや文章が若干くどい箇所が何箇所かあります。

また、究極的にはストーリー全体で傑出したものを感じられなかったというのがあります。

特にヴァイオレットがギルベルトに恋愛感情を抱いているというのが中盤から終盤で描写されているのですが、ここの心情描写が雑に感じられ、あまりにもキャラクターがプロットに流されるままになっている印象でした。つまり深みがない。

 

良かった部分は、短編でヴァイオレットが様々な人々と交流する場面です。もしかしたら本筋より短編のエピソードが好みという人も多いかもしれません。

多くのエピソードはヴァイオレット視点ではなく、その話ごとの主人公がいるのが面白かったです。

 

ヴァイオレットと郵便社の面々との会話は面白いものが多かったので、もうちょっとベネディクトやカトレア、ラックスといった郵便社のメンバー達との会話やエピソードが読みたかったです。

 

FAQ(小説)

ここもネタバレあるので注意

自動手記人形(オートメモリーズドール)って何?

元々はオーランドという博士が開発した自動タイプライター。

そこから転じて代筆業をしている人も愛称でオートメモリーズドールと呼ばれるようになった模様。

 

ヴァイオレットは何者?

人間。戦時中にディートフリードにどこかで拾われてきた。

本名は不明。親族の存在も不明の孤児。「ヴァイオレット」はギルベルトが命名。

幼少期から戦いと大人の命令に従う事のみを覚えさせられていた模様。

その力を買われて従軍することに。

退役後にギルベルトの計らいでホッジンズの郵便社に招かれる。

以降、同社で代筆屋として各地に派遣される。

短編の中では、ある小説家は彼女の義手とあまりの感情のなさに本当に機械の人形だと勘違いした。

 

戦う?

ヴァイオレットは代筆屋になってからも不可避の場合には戦う場面がある。基本的に相手を殺すことはしなくなっている。

 

 

ヴァイオレットの仕事とは?

依頼主が口頭で伝えた内容を手紙に綴る事。つまり代筆。

CH社の売りは依頼があれば山奥だろうが紛争地帯だろうがどこへでも駆けつける事となっている。

ただし、代筆以上の事はしない(はずだが・・・)。

 

 

世界観は?

架空の世界で、ヨーロッパのどこかをモチーフにした国が舞台。

1900年代前半のような雰囲気だが、一部のテクノロジーはかなり進んでおり、ヴァイオレットの義手もその一つ。