Échec Complet

ゲームの話や商品レビュー、日記、雑記

小説「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(上巻/下巻)の感想【ネタバレあり】

暁佳奈氏の「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の小説を上下巻とも読みました。

感想を書きますが、ネタバレを含むので気をつけてください。

 

f:id:bettergear:20170425211156j:plain

 

 

まず全部読み終わった印象としてはヴァイオレット・エヴァーガーデンはジャンルを確定するのが難しい作品です。

1つジャンルを挙げなければならないとしたら「恋愛」になるのかもしれませんが、時折アクションもあったり、ミリタリー要素もあったり、スチームパンクっぽいところもあったり、群像劇だったりと、様々なジャンルが織り交ざっています。

 

長編と短編にわかれていますが、短編が全く大筋に関係ないというわけでもなく、時系列順になっていなかったりもします。

 

概略

中核となる物語を簡単に紹介。

※ネタバレ100%なので読みたくない人は飛ばしてください。

 

ギルベルトという軍人が、同じく軍人の実兄から呼び出され、そこで見せられたのは常人離れした動きで人を殺す少女でした。

少年兵として半ば洗脳させられたような形でいびつに育てられていたヴァイオレットは、命令に従うだけの人間兵器と化していました。

ギルベルトの兄(ディートフリード)は、ヴァイオレットを武器として使おうとしていましたが、ギルベルトはこれに憤慨しつつも、兄から押し付けられる形でヴァイオレットを引き取ることになります。

ギルベルトはヴァイオレットが普通の生活を全く知らないだけでなく、戦闘に関する以外の言葉の意味もろくに知らないことに驚き、彼女に普通の生活を取り戻させようとします。

 

その傍ら、ヴァイオレットは軍の秘密兵器的な扱いで様々な作戦に参加し、「戦乙女」として名を馳せていきます。

ヴァイオレットは10代半ばになる頃には言葉もある程度覚え、普通に会話ができるようになっていました。しかし彼女は自分の意志で行動しているというより、命令に従っているというだけでした。

 

そんな中、とある作戦の最中、ヴァイオレットはギルベルトを守ることに気を取られ、肩に被弾、さらに銃剣で腕を斬られてしまいます。

ギルベルトもまた重症を負って瀕死の状態となっていましたが、最後にヴァイオレットに「愛している」と告げます。しかしヴァイオレットはその意味がわからず、どういう意味なのか?と問い返してしまいます。

 

駆けつけた援軍によって救助されたヴァイオレットは、目が覚めると病院のベットにおり、自分の両腕がなくなっていることに気づきます。

ヴァイオレットのもとに現れたのは、ギルベルトの友人・ホッジンズでした。

ホッジンズはヴァイオレットにギルベルトが戦死したと告げます。

その事を知ったヴァイオレットは絶望しますが、ホッジンズの説得もあり、義手をつけた後、エヴァーガーデン家に預けられます。

 

ヴァイオレット・エヴァーガーデンの世界では機械の技術が非常に発達しており、自動手記人形という機械があったり、高性能な義手があったりします。

ただし、世界観的には19世紀~20世紀前半くらいな印象です。

 

そして、ホッジンズが退役後に設立した郵便会社に招かれ、代筆の仕事をするようになります。

しかし、ギルベルトの事をずっと諦めきれずにいました。彼女はギルベルトの言葉がずっと引っかかっていました。

 

ヴァイオレットが勤務しているC・H郵便社は、お金さえ払ってくれれば「どこへでも駆けつける」というのが謳い文句で、紛争地帯にも赴くことがあります。

このため、ヴァイオレットを始めとして、ベネディクトやカトレアといった武闘派な人間が揃っています。

 

ヴァイオレットは同社の仕事をこなす中で様々な場所へ派遣され、様々な人々に出会い、多くの事を学んでいきます。

 

ある時、ヴァイオレットはかつての自分の主であるディートフリードに再会します。

ディートフリードはヴァイオレットを完膚なきまでにこき下ろし、突き放します。

ヴァイオレットはギルベルトは生きているのかと問いますが、曖昧な返事が返ってきました。そしてその瞬間、ヴァイオレットはギルベルトが生きていることを確信します。

 

ギルベルトは片目を失っていたものの、まだ軍にいました。自分の存在はヴァイオレットを幸せにできないと思い、ヴァイオレットに自分が死んだという嘘の情報を流して、彼女が近づかないようにしていました。

 

しばらくして、大陸横断鉄道の汽車が何者かに乗っ取られるという事件が起こります。

その汽車にはヴァイオレットが乗客として乗っていました。

この乗っ取りは単なるテロではなく、戦争に発展しそうな関係の隣国の軍部が仕掛けたものであることがわかり、ギルベルト達も汽車の奪還と乗客の救助の作戦に加わります。

そして・・・ヴァイオレットはギルベルトと再会します。

 

・・・と、こんな感じのあらましですが、ヴァイオレットの代筆の仕事を描いた短編については触れていません。だいたい5~6個のショートエピソードがあったような気がします。

 

感想

全体的には重厚感のあるストーリーですが、ヴァイオレットと同僚達の会話や派遣先でのエピソードの中には和やかなものもあったりします。

私個人としては100点満点中60点といったところです。

文章が全体的にやや説明っぽく、リズムが悪いです。

また、究極的にはストーリー全体で傑出したものを感じられなかったというのがあります。

特にヴァイオレットがギルベルトに恋愛感情を抱いているというのが中盤から終盤で描写されているのですが、ここの心情描写が雑に感じられ、あまりにもキャラクターがプロットに流されるままになっている印象でした。つまり深みがない。

 

多くのエピソードはヴァイオレット視点ではなく、そのエピソードごとの主人公がいるというのは面白かったです。

もうちょっとベネディクトやカトレア、ラックスといった郵便社のメンバー達との会話やエピソードが読みたかったです。