「立華高校マーチングバンドへようこそ」の感想
響け!ユーフォニアムのスピンオフ小説「立華高校マーチングバンドへようこそ」の前編を読みました。
めちゃくちゃ面白かったです!
強豪校ならではの慌ただしくハードな学校生活が描かれていて、そのあたりの面白さは当然あるのですが、それ以上に頭が痛くなるようなリアルな人間関係の描き方が凄まじい。
主人公の「佐々木梓」は友人が多くて積極的で吹奏楽も上手いという万能キャラであることがまた物語を面白くさせます。
同じパートの同学年の生徒で仲良く・・・と行きそうで行かない。
人間関係を円滑にすることがいかに難しいか。
そんな中、どうやら梓のことを疎ましく思っている中学時代の同級生が現れたりする。
マーチングバンドのことを知ることができるという意味でも楽しい小説ですが、それ以上に誰もが経験していそうな苦い体験をオブラートに包むことなく描いてくれていて、小説を読むのがあまり得意ではない自分でも1日で読みきってしまいました。
早く後編が読みたい。
自由曲は宇宙の音楽かー・・・強豪らしい選曲ですね。

響け! ユーフォニアムシリーズ 立華高校マーチングバンドへようこそ 前編 (宝島社文庫)
- 作者: 武田綾乃
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- 発売日: 2016/08/04
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響け!ユーフォニアムシリーズ 立華高校マーチングバンドへようこそ 後編 (宝島社文庫)
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後編の感想
立華高校マーチングバンドへようこその後編を読み終えました。
マーチングのコンクールに向けた練習が描かれているわけですが、それ以上に主人公の佐々木梓の内面を掘り下げるような内容でした。
自尊心を満たすために、利己的に友人に頼られようとしてしまう。
自分より弱い人間を見つけて助けてあげようとしてしまう。その裏にある彼女の人間性に迫る内容です。
どうやら本作のテーマはここにあるようです。
この着眼点は素晴らしいと思いました。
単純な「娯楽性」では『響け!ユーフォニアム』の方が上かと思いますが、ユーフォシリーズには少ない、やや毒気のあるストーリーでした。
立華高校マーチングバンドに比べると、響けユーフォニアムの方が漫画チックな印象です。
総合評価をつけるなら100点満点中80点といったところ。
単純ではないストーリーの奥深さがありました。
ただし、もっと気楽に、読みやすいものを求める人は辛いかもしれません。
やっぱり映像と音が欲しくなりますね。マーチングの迫力は視覚と聴覚で感じ取るものでしょうから。
「立華高校マーチングバンドへようこそ」はどちらかというと実写向きですかね。